夏休みを有意義に (8月3日)
- 公開日
- 2013/08/03
- 更新日
- 2013/08/03
隅田中日記
8月3日付 「天声人語」より
面と向かって話しているのにケータイやスマホの画面から目を離さない人がいる。怒るより気の毒な感じがする。そこまで電脳情報に接していなければ気がすまないのかといぶかしく思う▼大人でもそうだから、いわんや生まれた時からIT機器に囲まれて育った世代においてをや。ネット依存の疑いが強い中高生が全国で51万8千人いる。厚労省の研究班が調査をもとに推計した数だ▼ネットを使う時間を短くしようとすると、落ち込んだりイライラしたりする。絶望や不安から逃げるためにネットを使う。熱中しすぎなことを隠すために、家族にうそをついたことがある。そんな傾向の強い生徒たちだ。全体の8%にあたる▼スマホの普及も拍車をかけているのかも知れない。検索、動画、音楽など実に多機能だ。リクルート進学総研の最近の調べでは、高校生の55%が持つ。2年前の3・7倍。起きてから寝るまで一日中、肌身離さず触っている姿が浮かび上がる▼人間の欲望はきりがない。もっともっと、の声が頭の中で響く。よりたくさんの情報を、よりたくさんの人とのつながりを。それに応える手段が次々と登場し、人間はついて行くので精いっぱいになる▼ネットは便利だし、楽しいが、度がすぎて心が荒(すさ)んだり、家に引きこもったりとなっては本末転倒だ。〈物を玩(もてあそ)べば志を喪(うしな)う〉。無用のものに心を奪われ、本来の目的を見失うことをいう。時にはネットを離れ、つながらない時間を持ちたい。物は使いようである。