学校日記

「いのちの授業」

公開日
2013/10/14
更新日
2013/10/14

隅田中日記

新聞記事 ■102歳・私の証 あるがまゝ行く■ より

       つばさ学級での「いのちの授業」 (日野原重明)
 「つばさ訪問学級」とは、東京都立の特別支援学校の教員が病院に出張し、教育を行う制度のことです。聖路加国際メディカルセンターにも、都立墨東特別支援学校(江東区)の教員が訪問し、白血病やその他の難病のために長期入院している子どもたちが、この「つばさ訪問学級」で学んでいます。
 ある日、入院中の中学2年の男子からのメッセージが、私に届きました。そこには「朝日小学生新聞に掲載されていた日野原先生の記事をいつも見ていて、心に響いたので、ぜひお話をしていただきたいと思います。ボクも夢にむかってがんばる勇気を持って前進していきたいです」などと書いてありました。
 このメッセージに心打たれ、私はこのほど、院内のつばさ訪問学級の子どもたち5人と卒業生4人、保護者など約100人を集め、院内で「いのちの授業」を行いました。
 まず5人の子どもたちが、お気に入りの詩や文章を朗読してくれました。小学2年の子は、かこさとしの「ぼくのいまいるところ」、小学4年の子は谷川俊太郎の「あたしのあ あなたのア」、小学5年の子はレオ・レオニの絵本「スイミー」を朗読しました。最後に中学生が宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を読み、詩をイメージして描いたイラストにも、私は大いに引き込まれました。
 さて、私の番です。果物のサンプルをいくつか示し、「君たちの心臓と同じくらいの大きさの果物は?」と問いました。左手の自分のこぶしと比べさせ、両方の大きさがほぼ同じなら正解です。子どものこぶしが小さいように、子どものうちは心臓も小さいのです。
 次に、「君たちの心、君たちの時間、君たちの命は目に見えない。でも、君たちが大人になったら、自分だけでなく、誰か困っている人たちのために、その心、その時間、その命を使ってほしいんだよ」と話しました。
 最後に野口雨情の童謡「シャボン玉」を合唱しました。雨情は、娘が生まれて1週間後に亡くなったのを悲しみ、この詩を作ったそうです。子どもたちの歌声を聴きながら、「命ははかないけれど、尊い。私のメッセージは、きっとこの子たちにも伝わったはずだ」と、確かな希望を胸に抱いていました。