学校日記

第28回卒業証書授与式(3月8日)その10

公開日
2011/03/16
更新日
2011/03/16

学校生活

  • 38654.JPG
  • 38655.JPG
  • 38656.JPG

https://hashimoto.schoolweb.ne.jp/hashimoto21/blog_img/6423941?tm=20240805123920

https://hashimoto.schoolweb.ne.jp/hashimoto21/blog_img/6431948?tm=20240805123920

https://hashimoto.schoolweb.ne.jp/hashimoto21/blog_img/6437745?tm=20240805123920

学校長式辞************************

 3カ年の蛍雪の功なり、今ここに栄えある卒業証書を授与された104名の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いいたします。
 また、本日の卒業式に公私ともご多忙の中、ご臨席賜りました橋本市教育委員会 土井千弓様はじめご来賓の皆さま方に厚く御礼申し上げます。
 
 保護者の皆さま、お子様のご卒業おめでとうございます。「過ぎてしまえば思い出」と一言で済んでしまいますが、入学以来今日までには成長の喜びの反面様々なご苦労があったことと思います。落ち込んでいたとき励ましてくれたお父さん、汗にまみれたユニフォームを洗ってくれたお母さん。そして支えてくれた家族みんなの深い愛情。この子ども達はみんな知っています。皆様方に深い敬意を表します。そして、今日まで本校教育に寄せられました数々のご支援ご協力に感謝申し上げます。
 
 卒業生の皆さん、今日は感謝の言葉を家族の皆さんにお返しする日です。心をこめて「ありがとう」の言葉を返してください。
さて、皆さんはここ近年で生徒数が一番少なく、入学当初から3クラスで体育でも1クラスだけ少ない人数になってしまうなど、何かに付け困難な思いをさせてしまいました。また、昨年夏以降は学校の耐震工事が始まり、騒音と埃で落ち着いた学習活動ができなかったこともお詫びしたいと思います。しかしそのようなハンディにもかかわらず、一つ一つの行事を経験する度に君たちは成長してきました。1年生の時、春の遠足で学文路大師に行ったこと、2年生の職場体験学習、3年生の修学旅行など思い出は尽きません。とりわけ、部活動や文化祭、体育祭など、学校の先頭に立って活躍したことも忘れられません。
 また、君たちの学年から生徒会がゴミ拾い活動をはじめこともとてもうれしかったことです。学校を少しでもよくしたい、きれいな学校にしたいとの思いから、榊生徒会長を中心に取り組みはじめ、それが今の執行部に受けつがれています。先生からいわれてやり始めたのではなく、自分たちで取り組んだことに意義があると思います。先日も3年生有志でゴミ拾いを行ってくれていました。在校生の皆さんは、榊会長らが残してくれた、「自分たちの手で、自分たちの学校をよくしていこう」という精神をずっと受け継ぎ、協力の輪を拡げてほしいと願います。

 ところで、君たちは今15歳ですが、将来に希望はありますか?先進工業国だった日本も、近年少子高齢化が進み、君たちが社会の第一線で活躍する頃には、若者一人で二人の高齢者を支えるという重荷がかかってきます。君たちの行く末は、なんだか不安だらけのように思えてきます。
 
 こんな時だからこそ私は、君たちに人間らしい生き方をしてほしいと願っています。人間らしい生き方とはどのようなことでしょう。私は、人を信頼すること、人と協力すること、そして希望を持ち続けることだと思っています。ある学者によると、人間は相手の心や気持ちを読みとり「協力」という特別な行動をする動物であるという。チンパンジーも少しは気持ちを読むという行動はあるようだが、相手を欺くときに使われることが多いという。相手が何に困っているか想像し、それに対して手を差し伸べるようになったのは人間だけだという。
 餞に、困難を信頼と協力で乗り切り、希望に繋げた話を二つ紹介します。
ひとつは、昨年6月に地球に小さなカプセルを届けた小惑星探査機「はやぶさ」の苦難の旅の物語です。私は、往復4年かけて火星と木星の間にある「いとかわ」という小惑星に着陸、その星のかけらを持ち帰るというプロジェクトは面白いなあと思っていました。 ところが、「はやぶさ」は途中でエンジントラブルや通信不能に陥り、行方不明になり宇宙を漂ってしまいました。それを何とか見つけ出し、3年遅れで地球に帰還させた計画の中心人物川口淳一郎教授の講演を和歌山市で聴く機会がありました。この会場にいる一人の生徒が聞きに来ていたのを大変うれしく思いました。行方不明になった「はやぶさ」帰還は難しいと思ったときもあったそうですが、地上管制室の仲間のチームワークと根性、そして希望を捨てないことが成功に繋がったと話していました。高い志を立て、それに向かい仲間と協力しながら努力を続けると、運は拡がっていき、運を手元に寄せられるという話には感動を覚えました。何もかもがうまくいかなくなってきたと思っていた時に、「希望」を載せて帰ってきた「はやぶさ」にとても勇気をもらいました。
 もう一つは、これも昨年起こったチリ鉱山で地中700メートル深く閉じこめられた落盤事故。閉じこめられたことを悟ったとき、作業員達は当初絶望にうちひしがれたという。しかし、現場監督ルイス・ウルアス氏の指示のもと、1日の食事はスプーン2杯のツナ缶やコップ半分の牛乳などごく少量と決め、食事は二日に1回に制限しながら救出を待ったそうです。監督は、蒸し暑くじめじめしたトンネル内で生活班、作業班などに分かれて規律ある生活をさせたそうです。約70日間の地底生活に耐えられたものは、仲間を信頼し協力しながら希望(エスペランサ)を捨てなかったことでしょう。かつて阪神淡路大震災が起こったときにも、支え合いをしながら救出や救助を待ったことと重ね合わされます。
 
 困難なときほど人間らしさが表れるという二つの話をしました。いよいよ卒業の時がきました。君たちの前途には少子高齢化の波が打ち寄せ、長い苦難の人生が始まるかもしれません。しかし、我々人間は、自分勝手ではなく、孤立せず、仲間を信頼し、相手を思いやり協力をするという人間らしい美しい力を持っています。このことを忘れず、どんな状況になっても、明日への希望を持ち続ければ、必ず道は開けてきます。
 水平線の向こうに茶谷先生の乗ったヨットが航海を続けています。先生の姿は見えなくても、ずっと航海を続けています。こちらを向いて希望を捨てるな、あきらめるなと手を振りながら君たちの行く末を見守ってくれています。
 
 卒業生の皆さんの前途に幸多かれとお祈りし式辞と致します。卒業おめでとう。

*****************************

その後、教育委員会告示、PTA会長祝辞が行われました。

ありがとうございました。