学生百人一首 (1月16日)
- 公開日
- 2014/01/16
- 更新日
- 2014/01/16
隅田中日記
【天声人語《2014年1月16日(木)付》】 を紹介します。
青春とは反抗の季節か。〈あれもだめこれもだめだと言われてるルールの外へ飛び出したいの〉。福岡県の中学3年、永田好(このみ)さんが詠んだ。その一面で心優しい気配りも。神奈川県の高1、宮崎由衣(ゆい)さんは〈ゆずろうか腰を浮かしてまた座るあの人ならまだ準お年寄り〉▼毎年この時期に東洋大学から「現代学生百人一首」が届く。27回目の今回は5万6千首余りが寄せられたという。入選作からあふれる柔らかい感受性がうらやましい▼若さは新しいものを苦もなく取り入れるが、はまりすぎるとあぶない。〈手にスマホ耳にイヤホン目は下に残る五感は味覚嗅覚(きゅうかく)〉中2、中馬里菜(ちゅうまりな)。ついには〈会話せず友達家族ラインだけ今にもしもし死語になるかも〉高1、山口大介▼彼らは6年後の祭典をどう迎えるのか。〈出るかもね同級生がアスリート期待ふくらむ東京五輪〉中2、井上良信。だが、複雑な思いを抱く同世代も。岩手県の高3、田口諒(まこと)さんの作。〈東京に五輪誘致で笑顔咲くその笑顔の輪いつ被災地へ〉▼肉親の温かさが身にしみじみと。〈仕送りで何がいるのか兄へ聞く足りないものは家族だと言う〉高3、西村芽衣(めい)。〈甥(おい)っ子が小さな手でふれるんだこの世の形全てがおもちゃ〉高1、内藤秋音(あきね)。慈しむ視線が心を洗う▼恋の歌も数多い。〈隣より斜め後ろの席がいい黒板よりも目に入るキミ〉高1、川端佳織。さやあてもある。〈頑張ってと言った友はあっさりとあっという間に恋敵なり〉中3、堀紗矢香(さやか)。負けるな。