腕時計
- 公開日
- 2010/03/23
- 更新日
- 2010/03/23
校長先生より
腕時計をしなくなって30年になります。
大昔の話で申し訳ありません。私の勝手な推測です。
太古の人は、きっと夜明けとともに起き、日没とともに寝ていたのではないか。
電気も、火もないころ・・・灯りがなければ何もできません。時間はおそらく自然の営みから、本能で感じ取っていたと考えられます。
人には、コンピューターが束になってもかなわない能力があると言われています。また、自然に対する順応力もすごいものがあります。
しかし、文明が発達するにしたがって、人は本来有する能力をどんどん退化させているようです。
暑ければクーラー、寒ければヒーター、遠ければ、重ければ、車。
本来、人が持っている忍耐力や、野生の感性が必要でない時代になりました。
私は、変わった人間ですから、できるだけ、本来人がもっている能力や感性を退化させず大切に磨いていきたいと考えています。
昔の人は移動する時は自分の足しかありません。おそらく丈夫な足だったでしょう。その足の機能を退化させないために、私は、年間1000キロのジョギングに励んでいます。
時計の話に戻ります。今の世の中、どこにでも時計があります。自宅に、車に、職場に、駅に、携帯電話に・・・
あえて、腕時計をせず、今何時頃かを体で感じるようにしています。まず時計を見るのでなく、自分で「今。○○時○○分ごろ」と感じてから近くの時計を見ます。よく当たります。
仕事も、この仕事は30分でやる。そう思えば、だいたい30分で仕事が終わります。時間に対する感覚がものすごく鋭くなります。
太古の人がもともと持っていた「時間を体で感じる能力」を自分の中に「保存」するために腕時計をしていません。
そして30年がたちました。
文明の発達が、人間らしさをどんどん奪っていきます。
今の子どもたちは、そんな時代の真っただ中です。
大人が、文明とうまく付き合い、その恩恵を享受しながらも埋没することなく、本来の人間の体や頭脳がもつ、とてつもない能力を大切にすることを子どもたちに身をもって教えなければならないと考えています。