平成21年度卒業式 学校長式辞
- 公開日
- 2010/03/11
- 更新日
- 2010/03/11
学校生活
平成21年度卒業式 学校長式辞
3カ年の蛍雪の功なり、今ここに栄えある卒業証書を授与された130名の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いいたします。
また、本日の卒業式に公私ともご多忙の中、ご臨席賜りました橋本市教育委員会西本健一様はじめご来賓の皆さま方に厚く御礼申し上げます。
保護者の皆さま、お子様のご卒業おめでとうございます。「過ぎてしまえば思い出」と一言で済んでしまいますが、入学以来今日までには成長の喜びの反面様々なご苦労があったことと思います。落ち込んでいたとき励ましてくれたお父さん、汗にまみれたユニフォームを洗ってくれたお母さん。そして家族みんなの深い愛情。子ども達はみんな知っています。皆様方に深い敬意を表します。
さて、卒業生の皆さん、私は今心のそこからの喜びに満ちています。入学式に皆さんと一緒に本校に来て、卒業式にこうして卒業証書をわたすことが出来るのは何よりの喜びです。入学以来、君たちの一歩一歩の成長を全部見てきました。君たちは私の宝物でありました。一年生の時学年集会で学年主任曽根先生が「君たちは、「はい、ありがとう、ごめんなさい」を言えるようになりなさい。伊都地方で一番生徒数が多い。部活も勉強も一番になれるんだ」と語りかけていました。それに答えて君たちはとても生き生きと学校生活を過ごしました。去年の春、生徒会長の辻本君が日本一の中学校にするんだと宣言し、生徒会目標に礼(挨拶は欠かさず)守る(ヘルメットをかぶる)整える(きれいな学校)を掲げました。6月の文化祭では困難を克服して全員で燃え上がりました。秋の体育祭には全力を出し切り、フォークダンスに青春を感じました。終わったあと肩を組み合って歌った校歌に思わず涙が出てきました。11月の土曜日に登校して授業のあと鉄板バーベキューならぬバケツに穴をあけてするバケキューも忘れられない思い出です。話せばきりがない君たちとの3年間でした。1年生担任だった吉田先生、松本先生、寺尾先生、2年で担任だった曽根先生。転任された先生方は、今の君たちの姿をきっとみたかっただろうと思います。そして立派になったね、と言ってくれると思います。
かつては、高野口中は荒れた大変な学校だと言われた時期がありました。今、高野口中は、保護者・地域も皆様方やたくさんのボランティアの方に支えられ、本当に落ち着いた学校になってきています。昨年の3年生が基礎をつくり、それを受け継いだ今の君たちがより発展させ、築き上げてきたからです。学年全体がとても仲がよく問いかけに反応よく答えてくれる。学習ボランティアの皆さんにお世話になり行った学力補充にも一生懸命参加したことを私は知っています。図書ボランティアの皆さんにも挨拶をよくして、高野口中学校の生徒達はかわいらしいねという声をいただいています。何事にも全力で取り組む、外から来られた人を気持ちよく迎えるという、素晴らしい財産を残してくれました。君たちがいなければ今の高野口中はありえないといっても過言ではありません。後ろに座っている、1,2年の在校生の皆さん。この残してくれた財産をしっかり守り発展させていく責任があります。もう後戻りをさせては駄目です。在校生の皆さんにも期待します。
ところで、先日、校長室だよりで卒業式を始まりや開始を意味するコンメンスメントという英語を使うことがあると紹介しました。卒業式は人生のスタートなんだと解釈することからきています。君たちは今人生のスタート台に立ちました。私は君たちにこれからの生き方についてお話をして餞の言葉としたいと思います。
まず一つ目はものごとを広く客観的に見ることが出来る人になってほしい。3年前の入学式で私は君たちに、天動説と地動説の話をしましたが、人間には自分が見たままに,自分中心にものを考える癖があります。これを自己中心的な考え方という。大人になっても自分中心にものを考える人は結構多い。これでは「何が本当に正しいことか」は見えません。自分中心の考え方から脱却し、「真実は何か」「何が本質か」を見抜く客観的なものの見方ができるような大人になってほしい。それには、しっかり勉強し知識を増やすこと、人と交わり、心も豊かにして広い視野で物事を見たり考えたりできるようになることが大切です。
二つ目に、天から授かった命を大切にし、誰かの役に立つ人になってほしい。昨年も紹介しましたが、年はもう98歳になられた日野原重明先生というお医者さんがいます。聴診器で聞く「ドクッ、ドクッ」という心臓の音も命だけれど、もうひとつ、朝起きてから一日を終えるまで、誰もが自分で使える時間を持っている。この自分で使える時間こそが命(寿命)である。この時間を、自分のためにだけに使うのでなく誰かのために使うことが大切であると言っています。せっかく天からいただいた命−時間−だ。誰かの役に立ち、あなたがいてくれてよかった、と言ってくれたら、それ以上の幸せはないではないか。このことも心に留めておいてほしい。
最後に、明治時代の思想家、宗教家である(歴史の教科書にもでてくる)内村鑑三は「次の世代に遺したい最大の贈り物は何か」という講演を行っています。鑑三のことだからさぞ、難しいことを話したのだろうと思って読んでいましたら、彼は意外に、まず第一番に大切なものはお金。お金を遺し世のために遣う、それが駄目なら二番目に実業家になり、事業を起こしそれを遺し万人の幸せに報いることがいいという。それが無理なら、文学者や教師となって思想を遺し啓蒙啓発を行うとよい、と述べている。しかし、我々万人は金を貯めることも、事業家になることや文学者・教師になることもできないなら、いったい何を遺したらいいのか。これに対して彼は、偉くなれなくても、お金も学問もなかった人であったけれど、あの人は生きている間、「真面目なる生涯を送った人であった」といわれるだけのことを後世に遺したい、これなら誰でも出来る、と答えています。この話をように、君たちには真面目なる人生を歩まれることを望みます。
いよいよお別れの時がきました。生きていく上で欠くことのできない五つの文字「あ・り・が・と・う」という言葉をいつも心にもって、そして、君たちの最も素敵な笑顔も忘れず、よき人生を歩まれることを願います。
終わりになりましたが、卒業生の皆さんの前途に幸多かれとお祈りすると共に、ご来賓、保護者の皆様方はじめ、今まで本校に寄せられました全ての皆様方のご支援ご協力に感謝申し上げ式辞と致します。